研修後インタビュー 和洋九段女子中学校高等学校様


和洋九段女子中学校高等学校様

東京都千代田区の九段下にある、歴史と伝統を誇る中高一貫私立の女子校・和洋九段女子中学校高等学校。今回は教務部 数学科教諭・今井 志郎様にお声がけいただき、生徒会役員、文化祭実行委員の生徒向けの「可視化ワークショップ」を実施。今井先生に、ワークショップ後の感想をインタビューさせていただきました。


学校内で『えがこう!の可視化トレーニング』を実施しようと思ったきっかけを教えてください

えがこう!企業研修の説明会に参加したのがきっかけです。
受けてみて、「これは生徒たちの力になるスキルだ」と感じました。

国内で開催されたあるグローバルなサミットに参加した日本の中高生が、海外の子ども達とチームを組んで色々なワークをする時に、グループに存分に貢献できなかった場面が多かったと聞いたのです。

それからずっと、日本人としてグローバルなグループで役割をもつためには、一体どんな武器が必要なんだろうって考えていました。

そんな時にこのえがこう!の可視化トレーニングと出会って、このスキルがあれば、英語がネイティブではなくても、チームの中で役割が持ててみんなの力になれるのではと思いました。日本の子どもは、インプットは優れていてもアウトプットに慣れていない。でも、こういう(可視化の)手段があればまさに武器になるのではと感じたのです。

研修を受けてからは確信に変わりました。
この「グラフィックレコーディング」ができていたら、子供自身もチームに貢献でき、グローバルな仲間たちの中で必要とされる人間となれるなと。

あと、女子校なので、よく手紙に絵を添えるというのもやっているのを見ていたので、彼女たちの感性に合うのでは、と思ったのもあります。

私自身、描いてメモを取るというやり方には慣れていたのですが、自分自身のメモにはあまり絵がなかったのです。

なので、えがこう!のセミナーの中で絵で、絵を効果的に使って伝えた時のわかりやすさを知り、インパクトを感じました。文字よりも伝わっていくなあ、と。


「可視化」ということに対しての想いや気づきはいかがでしたか?

PBLと言う授業をやっているのですが、それは「正解のない問いを使うことによって知識、知恵を深めていこう」というプログラムなのです。その中に、個人の考えから集団の考えへいったりきたりするプログラムがあって、その中では特に可視化が役立つのです。

目に見えるように描いて説明しながら、私自身、「絵」を使うというのは凄い強い武器だなと実感しました。

それと今回のワークショップでは、あまり人とうまくしゃべれない子もいたのですが、その子が終わったあと「こういうのでも伝わるんだ...!」と言ってくれたのは、嬉しかったですね。

本当に、小さな頃から伝えておきたい能力の1つだなと研修後実感しました。

やはり表現の選択肢が増え、言葉だけじゃないんだと言う考え方ができるようになり、視野が広がる。言葉でも、踊りでもいいんじゃないか位に考えられるようになる。内にあるもやもやが、可視化することで共有されていくというところが面白かったです。

先生自身も描くスキルを活用されているようですね

今日、使っちゃいました(笑)。
発表の場で実際に描いてプレゼンしたのですが「わかりやすい」という声をいただきました。
「描く量が少ないのにわかりやすい」と言われて、自分でも気がつかないうちに「余白があることによって見る人が考えてくれる、補完する」という事が起きていたようです。
発表のお題は「生徒が目を輝かせるために教員が何ができるか」と言うものだったんですが、自分なりに、「圧縮して皆さんに伝えるので、皆さんが解答してください。」と呼びかけの仕掛けも入れつつ、描いて記録し発表しました。その時、描いたものに対して「もう少しそこが聞きたい」という言葉が出たのもよかったと思います。そこに話が見える形で描いてあったからこそ、突っ込んだ議論ができるのですよね。

生徒の皆さん、吸収がとても速かったですね。今井先生から見て、可視化トレーニング中の皆さんの様子はいかがでしたか?

まず、最初のウォーミングアップがよかったですね。
ウォーミングアップって言うか、とっかかりのアウトプットが、音と絵のミックスで手を動かすと言うやり方で、アイスブレイクにもなりつつ、描く抵抗もなくなっていく、良い仕掛けだと感じました。

そのあと笑顔で進んだのはそういうイントロダクションがあったからではないでしょうか。

最後には皆、課題も指示もないのにどんどん勝手に描き始めていたでしょう。あれを見た時に「ああ、このワークショップは成功だな」と思いました。
多分、こんなことを話してもいいんだ、というのを私と日高さんのデモを見て思ったのもあるんでしょうね。描く、描かれる、というのは「受け入れる、受け入れられる」こととも繋がっているのではないでしょうか。


ワークショップでの伝え方、流れ
はいかがでしたでか?

説明だけだと理解が深まらないかな、と思った場面があったので、私自身が体験で描いたワークをその場でリクエストしましたが、それは私自身がいいと思ったワークだったので。その場で加えていただいて、よかったと思います。

それから、やはりデモンストレーションは良かったですね。すごく真剣に見ていました。自分もこういう風に描けたらいいなって思う目をしてましたね。

最近は教育界は「振り返り」という言葉を使い、反省と言う言葉を使わないんです。最後の生徒の感想を絵で表現して、全員の感想を見れるようにしたのもとてもいいですよね。見るだけでいろいろなことがわかりました。

生徒の顔を出せないのが残念でしたが、とてもいい顔してましたよね。アンケートの評価が、とても良かった。満足度「5」が20人中18人。あとが「4または4.5」だったことに現場でも驚いていました。研修としては成功としか言えないですよね。。彼女たちは楽しい楽しいとしかいってませんでしたけどね(笑)

参加前と参加後で生徒さんの変化はいかがだったでしょうか。

このワークショップの参加を募集する際に、「みんなで新しいことをやるときに、絶対にこれを覚えておくと役に立つから」と呼びかけました。「何をやるかは、....絵を描くだけなんだけれど、絶対に役に立つから!」としか言えなかったんですよね。彼女たちも経験したことないことだから。

この「可視化」の効果はなかなか一言で言えるものじゃないんですよね。 具体的にどんな風に必要なのか、とか何が手に入れられるのか、というのがわかりやすく言語化できなかった。でも、とにかく生徒は興味を持って参加してくれました。

その後の感想で「ノート取るのが楽しくなった」って言う声もありました。みんな終わった後、すごくスッキリした、アウトプットできた!という顔をしていたのも印象的でした。
また、後日、「先生家でまだやってるよ」と言ってくれる生徒がいましたね。アンケートでも、参加した全員がこれからの活動に活かせるって書いていたので期待しています。

今回は最初同じ歳の子で固めたのですが今度は横だけでなく縦方向での繋がりもできるワークショップもできるといいのかなとも思いました。
差があっても縮まるんだよって言う気づきになるのではないかと思います。
今から彼女たちの壁やハードルが低くなったら、色々な形を工夫して開催してもやろうと思っています。

例えば 3回受講した人なら今度下級生に教えられるんじゃないかと思うんです。だから3回マスターとか、リーダーを作っていきたい。この技術はみんなの財産になると思うんですよね。

 

「コミュニケーションデザイン」という言い方もあり、大学でもこの可視化の学びが始まっているようですね。これからの生徒さんの活動に大きく貢献するスキルであることを願っています。
今井先生、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。