
情報を「見える形」にする思考をトレーニング
このたび大阪産業大学・堀上教授のゼミ(3年生)にて、2回にわたり図解の「専門ゼミナール」を担当させていただきました。
堀上教授が、学生のみなさんの発表に「もう少し視覚的に整理する経験を取り入れたい」と感じられたことがきっかけとなり、図解の教材を探す中で私の著書『なんでも図解』を手に取ってくださり、「この内容を授業で扱いたい」とご連絡をいただいたことから今回の取り組みが始まりました。
ゼミでは、社会で求められる“創造的問題解決力”の修得を大きな目標とされています。その基盤となるロジカル・シンキング(論理的思考)を強化する手段として、図解を活用したい──そんな明確な意図のもと、今回の2回の演習が実施されました。
第1回:文章を整理し、構造をつかむ図解演習
初回(6月25日)は、文章をどのように「見える形」に変えていくかに取り組みました。

複雑な情報も、関係性を整理して描き出すと、一気に理解しやすくなります。
学生のみなさんには、短い文章を題材に、要素を抜き出し、つながりを見つけ、図に再構成するプロセスを体験してもらいました。
最初は戸惑いながらも、手を動かすうちに少しずつ思考がほどけていく様子が印象的でした。
「正解の図」を描くことが目的ではなく、考え方を深めるための“思考の道具”として図解を使う。
その感覚をつかんでもらえたように感じます。
■ 第2回:話を聞きながら図解するライブ演習
2回目(11月19日)は、さらに一歩進めて「話をリアルタイムで図解する」演習を行いました。
聞きながら考え、同時にまとめる──社会に出たときに求められるスキルに近い内容です。

これは大人でも難しい課題ですが、学生の皆さんはここでも素晴らしい積極性を見せてくれました。 耳から入る情報に集中し、ペンを走らせる。完璧な図を目指すのではなく、話の要点や構造をつかもうとする姿勢が伝わってきました。
図解は、描く人の考え方がそのまま現れます。学生のみなさんそれぞれの個性や強みが見えてきて、とても頼もしく感じました。
2回の講座を終えて
図解は、デザイン技術ではなく「思考の技術」です。
情報をそのまま受け取るのではなく、
「何が大事か」「どうつながっているか」を自分の頭で組み立て直す力が育ちます。
今回の授業では、まさにその力が学生のみなさんの中に芽生えていくのを感じました。

文章を整理して構造を読み取ること、必要な情報を選んで形に再構成すること、そして話を聞きながら思考を可視化していくこと──。
こうした一連のプロセスが自分の中でつながり始め、図解が“考えるための道具”として機能し始めているのが伝わってきました。これらはどれも、社会で求められるロジカルシンキングに直結する大切な技術です。
2回の演習を通して、学生のみなさんが非常に意欲的に取り組んでいる様子が印象的でした。
少しでも有意義な時間になったのであれば幸いです。
■ 最後に
図解は、難しい理論ではありません。
紙とペンがあれば、誰でもすぐに実践できます。
今回の学びが、学生のみなさんのこれからの研究やキャリアの中で、
“思考を整理するための道具”として役立っていけば嬉しく思います。
堀上先生、そして参加してくださった学生のみなさん、
この貴重な機会を本当にありがとうございました。


